ノンアルカリ・弱酸性|パーマ液を理解する5つのこと

今日で「パーマ」というメニューは実にたくさんの種類があります。

エアウェーブ、デジタルパーマ、水パーマ、コスメパーマ、酸性パーマ、ロボットパーマ、コテパーマ・・・

手法や薬剤が「パーマ」というメニューに混じり合っているせいでたくさんの種類があるように思えてしまいますが、

 

パーマの基本原理は同じです。

 

「パーマ液」というとどうしても曲げる行為やデザインをイメージしますが、この原理はストレートパーマや縮毛矯正などの薬剤と同じです。「何が違うのか?」というのは、曲げたり。まっすぐにしたりという目的が違うから処方の仕方が異なるのです。

 

例えば、曲げることが目的のパーマ液でストレートにすることも可能なのですが、処方が異なるため少し工夫は必要です。また、同じように縮毛矯正の薬剤でカールを形成することも可能です。しかしこれにも工夫が必要です。そして、仕組みさえ知ればひとつの薬でも幅が広がります。

 

巷ではダメージレスにこだわる需要が多いために、新しいネーミングなどで消費者に興味を引こうとしますが、仕組みさえ知ってしまえば「なんだそういうことか」となります。また、化学というと少し難しく感じるかもしれませんが、そんな難しい化学式とかは基本的に必要ありません。子供のように自由な気持ちでおしゃれを楽しめるために知識を得ましょう。

 

以前に「クリープ期」や「応力緩和」などを記事にしましたが、パーマの仕組みは大きく分けて2つです。ひとつは薬剤による作用、もうひとつがそれ以外の作用です。前回はそれ以外の作用について記事にしましたので今回は「薬剤」について解説します。

 

もちろん科学は日々進歩しますので今まで当たり前に通用していたことが突然変わることがあるのも事実ですが、今日における最低限の知識を得ることで少しでも役立つことがあれば幸いです。

 

薬剤を知るために必要な5つのこと

 

薬剤を構成する仕組みはシンプルです。専門用語になるのではじめの項目を確認したら次に進んでもかまいません。なんとなく「こういう仕組みなんだ」程度で十分です。その次にわかりやすくひとつずつ解説します。

 

STEP1. 還元剤

薬剤で一番重要なのが「還元剤」です。これはジスルフィド(S−S)結合という、髪の結合を還元酸化させることでカールさせたり、まっすぐにしたりすることができます。

 

還元剤とは?

 

還元剤(かんげんざい、reducing agent、reductant、reducer)とは、酸化還元反応において他の化学種を還元させる元素または分子のことである。この際、還元剤は酸化される。したがって、還元剤は電子供与体である。

 

例えば、以下の反応では還元剤はヘキサシアノ鉄(II)酸(ferrocyanide)であり、これが電子供与体となってヘキサシアノ鉄(III)酸(ferricyanide)に酸化され、塩素は塩化物イオンに還元している。

 

[FeII(CN)6]4- + 1/2 Cl2 → [FeIII(CN)6]3- + Cl-

 

有機化学においても先述の定義が当てはまるが、特に分子への水素の付加を還元と呼んでいる。例えばベンゼンは白金触媒によってシクロヘキサンに還元される。

 

C6H6 + 3 H2 → C6H12

 

無機化学では、最も優れた還元剤は水素(H2)である。

 

wikiより

 

STEP2. pH 

次に「pH」です。肌や髪が弱酸性という話はもはや有名ですね。

 

pHとは?

 

水素イオン指数(すいそイオンしすう)または水素イオン濃度指数とは物質の酸性、アルカリ性の度合いを示す物理量である。1909年にデンマークの生化学者セレン・セーレンセンにより提唱された。pH(potential hydrogen、power of hydrogenの略)という記号で表される。pH の読みはピーエイチ(英語読み)、またはペーハー(ドイツ語読み)である。日本では1957年に pH の JIS を制定する際に読みがピーエイチと定められ、現在の法令[1]およびJIS[2]ではピーエッチと定められている。

 

ふつうは水溶液中での値を指す。なお、1 atm・25 ℃において pH = 7 の場合は中性と呼ばれる。pH が小さくなればなるほど酸性が強く、逆に pH が大きくなればなるほどアルカリ性が強い。

 

wikiより

 

 STEP3. アルカリ度

 

pHと関連してくるのがアルカリ度です。

 

アルカリ度とは?

アルカリ度(JIS規格では酸消費量という)とは、水中に含まれる炭酸水素塩、炭酸塩又は水酸化物等のアルカリ分の量をこれに対応する炭酸カルシウム(CaCO3)の濃度で表したもので、試料水が酸を中和する能力の指標となります。

 

アルカリ度は2種に区別され、pH8.3まで中和した場合の酸消費量をフェノールフタレインアルカリ度(Pアルカリ度)、pH4.8までの酸消費量を総アルカリ度(Tアルカリ度又はMアルカリ度)と呼んでいます。

 

自然水のアルカリ度は炭酸塩又は炭酸水素塩が主体をなすことが多く、雨水中に溶けているCO2や土壌中の生物の呼吸作用、地下水が石灰岩のような堆積岩(炭酸塩)を通過するとき、炭酸水素塩としてCa、Mg等を溶出してくることに起因しています。地下水はアルカリ度が高く30~80mg/リットルで、表流水は通常20~40mg/リットル、河川水は一般に上流は低く、下流に行くほど少しずつ増加するといわれています。

 

weblio辞書より

 

STEP4. 2剤(酸化剤)

 

パーマは還元酸化の化学反応です。

 

酸化剤とは?

酸化剤(さんかざい、Oxidizing agent、oxidant、oxidizer、oxidiser)は、酸素原子を転移される化合物または、酸化還元反応に於いて電子を得る物質と定義されている。いずれの場合も酸化剤は還元される。

端的にいうと、

 ・酸化剤は還元される。

・還元剤は酸化される。

・分子中のすべての原子にはそれぞれ酸化数を付与することができる。この数は酸化剤が作用したときに変動する。

・反応物の酸化状態の変化によって酸化還元反応が生じる。 

 

wikiより

 

STEP5. その他の添加物

 

商品安定のための防腐剤や金属封鎖剤、トリートメント成分などがその他配合されています。トリートメント成分が入っているというと何だかその方が良いと思いがちですが、それも後ほど検証していきます。

 

 

そして、こういった文章では意味がわかりづらいですよね。それではひとつひとつわかりやすく解説していきましょう。

 

 

還元剤

 

還元剤はパーマ液の主成分です。専門的に言うと、毛髪のシスチン結合に作用します。この還元剤にはたくさんの種類があります。そして、 パーマの基本といえば個人的にはチオグリコール酸です。他にもGMT、システアミン、スピエラ、システイン、チオグリセリン、サルファイトなどいいあげたらきりがないくらいの種類があります。

 

「じゃあどれが髪にいいの?」と思うかもしれませんが、正解はありません。なぜなら還元剤という成分ひとつではパーマという理論は成り立たないからです。

 

還元剤はそれぞれ特長があってその浸透力(還元力)が異なります。

 

かかりをよくしたいのあれば単純に還元剤の濃度をふやせばいいことなのですが、その分ダメージはでます。ですのでどうバランスをとるのかがとても重要です。また、1種類よりもブレンドすることで生まれる効果もあるのが面白いところです。それではまず還元剤の濃度による検証をしていきます。

 

私が還元剤の基本と思っている先ほどの「チオ」を使用します。

 

実験

 

濃度が単純に約2倍の比較です。「チオ」という還元剤3mlに対して、浦和の水道水で適当に希釈してあります。

 

実験

 

還元剤の濃度が高ければ当然かかりは濃度が高い方がかかりますね。シスチン結合を切る力は濃度が濃いほうがかかるということです。しかし、パワーがあるということはその分髪に対する負担もあるということも理解しなくてはいけません。それでは次のステップにいきましょう。

 

 

pH

 

テスト

 

 

肌が弱酸性という言葉は有名ですね。そこで先ほどの希釈水を水道水と黄色の色をした何ともあやしい?pH10のアルカリ水で還元剤濃度は同じにして、それぞれを希釈します。水のpHは約7です。

 

 

テスト

 

 

かかりあがりは還元剤をアルカリ水で希釈したほうがかかりが良いです。つまり、「チオ」という還元剤はアルカリ領域のほうが仕事が得意ということがわかりましたね。 

 

それではここで還元剤を変えて実験してみましょう。使用するのは「GMT」という還元剤でテストしていきます。

 

 

還元剤を希釈するのは先ほどの「アルカリ水」とpH5.5くらいの酸性水でテストします。

 

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かかりあがりです。今までは濃度をあげたり、pHを高くした写真の右側がかかりがよかったのですが、今回のテストでは左の酸性水を使用した方がかかりがよくなりました。このことから「GMT」という還元剤はpHがアルカリよりも弱酸性の方が仕事が得意と理解できます。

 

 

つまり、還元剤というのはpHとの関係が深く関与していることがわかりましたね。それでは次はアルカリ度について見てみましょう。

 

 

アルカリ度

 

 

還元剤はそれ自体の配合量やpHによってかかりがことなることが理解できましたね。ではアルカリ度とはどういった関係があるのでしょうか?

 

 

例えば、pHがその高低差を表すとすると、アルカリ度はそのアルカリ量です。つまり縦軸と横軸の関係があります。これも写真を見た方がわかりやすいので実際に見ていきましょう。

 

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写真ではわかりにくいですがパーマ液が5g用意してあります。

 

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pHは8くらいです。ここに水をいれてこのパーマ液を希釈します。

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水を45g足してもう一度pHを計っても変わらないですよね。もし簡単にpHが変動したら、先ほどテストしてわかりましたが、還元剤はいい仕事ができなくなってしまいます。つまり、商品は製品安定のために簡単にpHが変わらないように調節してあるのですね。

 

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 という訳で「酸リンス」を用意します。水とは違い酸度があります。次はこの酸リンスでテストしていきます。

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パーマ液と同量の酸リンスを加えて計測してみるとだいたいpH4くらいに変化しましたね。それでは次はカラー剤で同じようにテストしてみます。

img_0349

 

 

だいたいpH10~9くらいでしょうか。カラー剤は粘度があるから見えずらいですね。同じように酸リンスを薬剤と同量足します。

 

img_0350

 

pH6くらいでしょうか。先ほどのパーマ液とは下がり方が異なりますね。つまり今回のテストではカラー剤のほうがアルカリ度が高いということが理解できたと思います。そして、なんとなくアルカリ度も理解できたのではないでしょうか?次は2剤について説明しましょう。

 

 

2剤

 

「パーマは2剤であてる」という言葉があります。これは世間では「ノンアルカリ」や「弱酸性パーマ」などのように1剤が注目されることが多いのですが、1剤の還元剤で行なわれた仕事をきちんと固定することが重要だからですね。固定できなかったら今まで苦労は「水の泡」です。

 

これは以前記事にしてありますのでリンクからどうぞ

リンク → 同じ薬でも濃度や使い方で仕上がりは異なります。 

 

2剤でもその性質を理解していないと結果が変わるのです。還元剤と同じことですね。

 

その他の添加物

 

添加剤はパーマ液の安定や防腐効果、質感コントロールなどに関係しています。

 

|金属封鎖剤

パーマ液の主成分である還元剤などは鉄分などの金属が嫌いです。これは還元酸化という化学反応をするのが髪を曲げたり、まっすぐにすることになるのですが、水などに含まれる金属によって化学反応が邪魔されないようにするために配合されています。

 

|防腐剤

当たり前のことですが、商品が腐敗しないために配合されています。

 

|増粘剤

使いやすい粘度にするために配合されています。セルロースなどでトリートメント効果を出す効果もあります。

 

|その他色々

商品の特長を出すために浸透促進剤や保湿剤など基本的になんでも配合できます。各メーカーさんの売りはすべての配合バランスです。使いやすさや仕上がりの風合いなどを計算して調合されます。

 

 

まとめ

 

 

このように一言でカラー剤、パーマ液やストレート剤、縮毛矯正剤といってもその性質を理解していないといけないのですね。商品は消費者が使いやすいように考えられて製造はされていますが、その特長を正しく理解しているのとしていないのでは同じ商品を使用しても当然結果が異なるのです。

 

商品は髪質に合わせて正しく使用することが一番ダメージが少なく、キレイなカール感やストレートを楽しめることに繋がります。最高のパーマ液など存在しません。もしそんな経験をしてあるなら、それはきっと最高の腕(技術)を持っているのでしょう。もちろん普段のホームケアも同じように大切ですね。

 

 

大切なのは疑問を持ち続けること

 

 

それではステキなヘアライフを!

 

 

 

 

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