アップル社には、最高責任者ティム・クックでさえ管理できない特別な人がいることはご存知だろうか?その名はジョナサン・アイブだ。彼の役割は最良の製品をデザインすることだけだ。上級副社長という肩書きはあれど、それ以外は全く皆無だ。それなのにアップル社の誰にも干渉されない、いわば最強の権限を持っている。そんな立場を与えたのがスティーブン・ジョブズだ。
そんなアップル社の裏のトップであるアイブ氏はロンドンミュージアムにおいて、デザインするうえでの12のヒントを次のように述べている。
デザインするうえでの12のヒントとは
わたしたちがつくるもの、それは私たちが何者かを証明している。人々はそこに思い入れがあるか、そうでないかを感じとることができるはずだ。それはお互いの信頼関係に関わることだ、そして思い入れがないということは失礼にあたるということだ。
最高のアイディアは何気ない会話の中からはじまる。デザインは、開始時からの様々な小さな変化によって、全く異なるモノに仕上がる。アイディアは、はじめの時点では非常に変化しやすいし、閉鎖的な考えだ。ところがプロセスをすすめていくと全ては変わる。それは多くの人が関わることで排他的ではなくなるからだ。
デザイン学校のデザイナーのほとんどがモノをつくる方法をわかっていない、その理由は「ワークショップの授業料は高いがコンピューターは安いから」だ。多くのデザイナーがモノをつくる方法を知らないのは悲しいことだ。CADソストウェアは微妙なデザインもよく見せることができてしまう。3Dデザインコースに4年間何もつくらずにいるなんてもったいないことだ。デザインもモノづくりにも優れている人はとても素晴らしいことだ。
アップルのインダストリアルデザインチームに入ることは非常に難しいといわれている。その理由のひとつは、過去15年で18人のデザイナーが誰一人としてやめていないからだ。「私は小さなチームで仕事がしたい。私たちのデザインチームは18人しかいない。でも誰一人として今までやめていないんだ。」
8年という仕事の苦労がたった半年でコピーできてしまう。しかし、それを避けることはできなかった。人のデザインを盗むということは、人の時間を盗むということだ。お世辞かって?まさか、冗談だろう
本当に新しく、革新的なデザインを追求するなら、いい訳はしないことだ。
アップルの端末を小さくしすぎているという批判があるが、それは自分が素晴らしいこととは思っていない。なぜならテクノロジーが進化する中でそれは必然的なことだからだ。驚異的なテクノロジーを見たとき、より小さく、より安く、より信頼性の高いモノをつくりたくなるのが人間だ。
我々は電話の内部に多くの時間を費やしたが99%の人はそれを見ることはないだろう。しかし、それは大事なことだ。
他社と異なる商品という目的で商品はつくらない。異なる商品をつくることは簡単だ。例えばそれは、ピンク色にしてフワフワにすればいいことだ。難しいことはいいものにするということだ。異なるモノをつくるのがマーケティングや企業の課題になりがちだが、大きな変化が起きれば違いは生まれるものだ。
失敗することを恐れてはいけない。失敗していないということは、チャレンジして突き進んでいないということだ。スタジオで80%はうまくはいかないものだ。だからトライ&エラーを繰り返す。
ひとつの成功するアイディアにつき、9つの却下されたアイディアがある。
わたしたちの目標は切磋琢磨して最高の商品をつくることだ。そして、たくさんの人たちに気に入ってもらうことが私たちの成功であり、それはよい製品を作ること、そう信じている。私たちは知っている。気に入るということは、購入してもらえるということだ。お金をうむということは、私たちの結果だ。
参照元 : Cult of Mac
僕が最高のデザインを提供するには、髪という素材以外に容姿を観察し、薬剤や技法を駆使し、最高のデザインをつくることと同じだ。そしてそれはどの職業でも同じことだ。料理人なら素材を吟味し、様々な調理法を駆使してもてなすように努めることのように、あるいは整体ならその問題を試行錯誤し、最善の方法を選択する。飲食や整体をデザインと考えることはおかしいことだろうか?いや、僕はデザインするということは人の生活に直結していることと考えている。だから製品だけとは思わない。健康な身体づくりのためのデザインという思考でもいいのではないだろうか?
スティーブン・ジョブズが絶対的な信頼を寄せた人物、ジョナサン・アイブについて深く紹介した書籍「ジョナサン・アイブ」がついに日本語訳された。一番重要なことはデザインであり、デザイン以上に重要なことはない。多くのデザイナーにオススメしたい1冊だ。
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