チオグリコール酸の骨格と有効濃度
「pH・チオレート化率・還元濃度」を理解する。
チオグリコール酸は、pHによって反応しやすい形の割合が変化し、維持力(アルカリ度)によって反応場の持続性が変化し、水分状態と膨潤によって到達性が変化する還元剤。
pHでチオレート化率は大きく変化
チオール側のpKaを9.3付近として概算すると、pHごとのチオレート型の割合は大きく変化
チオレート化率(反応しやすい形になっている割合)
pKaとは何か?
pKaとは、その成分がどのpHあたりで形を変えやすいかを見るための目安
チオグリコール酸には、チオール基があります。
このチオール基は、pHによって次のように形の割合が変化します。
R-SH
R-S⁻
R-SHはチオール型
R-S⁻はチオレート型
ジスルフィド結合に対して反応しやすいのは、主にR-S⁻のチオレート型
チオグリコール酸は、カルボキシル基とチオール基を持ち、チオール側の解離、つまり -SH → -S⁻ のpKaはおおよそ 9.3
計算式:チオレート化率 = 1 / (1 + 10^(pKa – pH))
| pH | チオレート化率の目安 | pH7を1とした指数 |
|---|---|---|
| pH5 | 約0.005% | 約0.01倍 |
| pH6 | 約0.05% | 約0.1倍 |
| pH7 | 約0.5% | 1倍 |
| pH8 | 約4.8% | 約9.6倍 |
| pH8.5 | 約13.7% | 約27倍 |
| pH9 | 約33.4% | 約67倍 |
| pH9.5 | 約61.3% | 約123倍 |
| pH10 | 約83.4% | 約167倍 |
チオはアルカリ領域で反応を組み立てやすい
還元濃度を上げれば補えるのか?
実効反応指数 = 還元濃度 × チオレート化率
たとえば、4%チオ pH9なら、
4 × 33.4% = 1.34
一方で、8%チオ pH8だと、
8 × 4.8% = 0.38
つまり、pHを1下げて濃度を2倍にしても、単純計算ではpH9の4%には届かないという見方になります。
pH8のままpH9・4%相当に近づけようとすると、単純計算ではかなり高濃度が必要になります。
もちろん実際の髪では、浸透、膨潤、水分状態、放置時間、基剤、維持力(アルカリ度)が絡むので、この数値通りにはなりません。
